主人に先立たれて五年が経ちます
はぁ、思い返してみましたら主人に先立たれてよりもう五年経ちますか。早いやらゆるいやら、その間に私の子達も独立し、親元を離れていってしまいましたねぇ。そりゃいつかは必ずこうなるのだということがわかっていても、やはり実際に誰もいなくなると寂しさも感じましょう。ほら、孤独死というんですか?
そういったものもありますからねぇ。
さて、以前より「高齢の間にパソコンをしておくとボケ防止になる」という話を聞いておりまして、趣味の一つとしてインターネットをしていた私なのですが。ある時、ふとしたきっかけで中高年用に作られたコミュニティーサイトがあるということを知り、ちょうどいいと思い登録してみましたのです。
……実は恥ずかしながら、もう六十も半ばに差し掛かりつつあるような私が、年甲斐もなく幾度となく登録しかけるところまでは行くことがあったのです。その都度、やはりやめておこうという気が働いていたのですけれど。今回は、思い切ってみようと思いましてねぇ。実際登録してみれば、私にとってすればそこが新鮮な環境だったからなのか、刺激的な日々を送るに足りるだけのものをサイトは与えてくれました。
ところで先ほど、趣味の一つとしてインターネットをしているとは言いました通りに御座いますが、趣味の一つということには他の趣味もありますということなのでして。登山が、好きなのです。この趣味は、インターネットよりも私の中での歴史は長く根付いております。
何故唐突にこのような話をしたのかと申しますと、実は私の登録したサイトで、同じく登山を趣味にしているという男性と知り合うことが出来たのです。実際にその方と、既にもう三度ほどになりますか、共に登山に出かけたこともあるのです。彼は奥様を亡くしてからもう八年経つのだということを教えてくださいました。そして彼もまた、私のところと同様に子供たちが自立して別の家庭を築き上げていっているとのことです。
住み慣れたと言えども、一人で過ごすにはあまりに広くなってしまった我が家。素直に寂しさがこみ上げてくるのですが、それでも子供たちが自分たちで組み上げた家庭という空間に介入したいとはどうしても思えないのです。彼も、私も、その点において考えが一致していました。ですからすぐに親近感も沸いたのですねぇ。
私たちのような年齢層にとっても、このシステムは有難い限りだと思います。ご近所さん方や、既に別の家庭を気付いている子供たち夫婦とその家庭に知れることなく新たな出会いというものを見つけることが出来るのですから。
と言いましてもこの年になって新しい人と添い遂げようなどという気は毛頭ありませんけれど。それはきっと彼も同じことかと思います。それぞれ独立しているとはいえ家庭ある子を持つ親でもあるわけですし、何より亡くなった連れと同じ墓に入りたいじゃあありませんか。それに現実的にも、籍を入れるというのは本人たちだけの一存で決められることでもありませんしねぇ。今のような関係が心地いいのです。
もちろん、私たちにはその気がないと言っても、再婚相手を探すことができないというわけでもありませんし、また私のように仲間というものを得ることも出来ますので、利用するにしてもその用途は様々なんでしょうねぇ――。
その他体験談
2011年5月19日